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視覚文化連続講座シリーズ2 
第2回「視覚文化を横断する」
講座レポート

心霊写真を見る

-起源から現在まで-

前川 修
(近畿大学教授)

日時:2021年10月16日(土曜)午後2時から3時30分
会場:平安女学院大学京都キャンパス
主催:きょうと視覚文化振興財団 京都新聞社
協力:平安女学院 京都新聞総合研究所
連続講演第2回目は、前川修先生の講義でした。心霊写真とは、19世紀以後、霊や死神や神仏などが写っている神秘的な写真のことで、現実の像とは乖離のある画像が写っている写真を指します。撮影者が意図しないまま偶然写り込んでしまった写真や、オカルト的な交霊会などで、特殊な能力をもつ霊能者が現実世界に呼び出した霊やエクトプラズム(霊の姿)を写したものを言います。日本では、もともと「幽霊写真」と呼んでいましたが、1970年代頃から「心霊写真」の名称が定着しました。
今回の講義では、1970年代に始まり、1980年代以後に性質を大きく変え、現在のインターネットなどによる多重フレーム時代を迎えた日本の心霊映像を中心にして、種々のメディアの重なり合いの中に見られる心霊表象の移り変わりをお話しいただきました。
20世紀初頭に一度衰退した心霊写真は、1970年代に甦り、それまでとは異なる新たな表象を生み出します。投稿心霊写真というものが世間を賑わすようになり、家庭の写真アルバムに保存されていた何の変哲もないスナップ写真に、驚くべき霊の姿が映し出されているのが発見されました。こうした1970年代の心霊写真では、「呪い」などの奇怪な物語がつきものでしたが、1980年代に入ると、コメントは少なくなり、写真中心の紹介に変わっていったといいます。ただ、それらの写真は、単なる「失敗した写真」にすぎないという批判が起こり、1980年代末には終息しました。
1990年代になりますと、再び心霊写真が復活し、映像は複雑になって、3本足の人間像などの、いわゆる「フォトジェニックな心霊写真グラビア」と呼ばれる時代になります。さらにビデオ映像が、さまざまに禍々しい画像を作り出し、まったく新しい心霊的なものを増殖させる時代を迎えたといってもよいでしょう。
前川先生の講義から、人々の心に巣食う「不可思議なもの」への恐れと期待が何時の時代にも存在することを学びました。(N)



【会場の様子】
いよいよ講義の始まり始まり。受講生は「心霊写真」という言葉に魅力を感じている様子で、最初から、ただならぬ雰囲気が会場にたち込めていました。中谷理事のあいさつもうやうやしく。

神秘的な表情を漂わせながら講義を続ける前川先生。暗くてお顔が見えなくならないように、手間には「新兵器」の照明機械が設置され、お顔が浮かび上がりました。

めずらしい心霊写真を次々に映していただき、受講者も興味津々で、吸い込まれるように、非常に奇妙で少し怖い世界へ導かれていきました。「おお怖・・・」

【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
Tel / Fax:0774-45-5511