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講座・講演会情報 講座・講演会情報

視覚文化連続講座シリーズ3 
第4回「視覚文化に分け入る」
講座レポート

陶芸と美学

出川哲朗
(大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)

日時:2022年12月17日(土曜)午後2時から3時30分
会場:平安女学院大学京都キャンパス
主催:きょうと視覚文化振興財団 京都新聞社
協力:平安女学院 京都新聞総合研究所
【内容】
大阪市立東洋陶磁美術館との出会い
中国の陶磁と日本の陶磁
やきものの芸術学
近現代作家への関心


【報告】
今回ご講義の出川先生は、長らく大阪市立東洋陶磁美術館の館長として陶磁美術展の企画を担当され、数多くの展覧会を実現され、ご退職後の現在も引き続き陶芸のご研究を深化されています。講義内容は、日本と中国の陶磁器の特質とその歴史で、千年をはるかに越える陶磁の諸問題について、美学・芸術学的見地を導入しながら詳しく紹介されました。以下、講義内容について、出川先生ご自身に報告していただきました。(N)


陶磁器研究のアプローチの方法論は多様であり、窯業史学、考古学、歴史学、社会学、文化史学、美術史学、文化財科学、化学、芸術学、そして美学もある。大学で物性物理学、美学、芸術学などを学んできたことが、陶磁器研究を理解するのに役に立っている。
研究対象とする陶磁器もさまざまである。海を越えて輸出された貿易陶磁を扱う陶磁流通史。17世紀後半にヨーロッパへ輸出された柿右衛門様式の磁器が、ヨーロッパの宮殿を飾ってきた。オランダ風俗画にはしばしば青花磁器が描かれている。
茶道の道具としての陶磁器を扱う美学では、井戸茶碗などの高麗茶碗、楽茶碗、織部、志野茶碗などが茶人の間で愛玩され語られてきた。
出土品の陶磁器を扱う陶磁考古学。陶磁器は墳墓の副葬品として出土する唐三彩を始め20世紀以降に膨大な数量が出土している。ここでは陶磁器の産地と編年が主要な関心となっている。編年には考古学的手法が重要である。また陶磁器が吸収した放射線量を測定する「熱ルミネッセンス」による年代測定法も行われている。
また陶磁器が鑑賞対象として扱われ、収集対象ともなって、美術館などで展示されている作品群も見逃せない。また生産体制から民間の窯で焼成された磁州窯、宮廷専用の窯で生産された官窯製品、そして近代以降は個人作家の出現による作品などがある。個人作家では民藝運動の浜田庄司や河井寛次郎の作品、八木一夫をはじめとする走泥社のメンバーの作品が注目されている。講演では現代で人気のあるルーシー・リーの作品について、アーカイブを使って作品の独特の造形美の謎を解き明かした。(出川)



【会場の様子】


「ルートヴィヒ美術館展」(京都国立近代美術館)、「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年展」と「GUTAI分化と統合展」(大阪中之島美術館)、「李禹煥展」の招待券が、テーブルの上に所せましと並んでいます。連続講座の講義終了後には、京阪神にある美術館の招待券が用意され、受講生たちはくじ引きで当てる慣例となっています。これもまた受講生にとっての楽しみの一つでしょう。

【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
Tel / Fax:0774-45-5511