連続講座の2回目は、原田平作理事長の担当です。19世紀から21世紀までの世界を視野に入れて、視覚文化を構成する絵画(日本画と洋画)や彫刻、版画、写真、マンガの領域を横断・縦断するという、気宇壮大なお話し。長年、美術館の現場で仕事をされ、たくさんの国内展・海外展をプロデュースされてきた経験に裏打ちされたものでした。準備はぬかりなく、ご自身の著書『日本の近代美術――欧米と比較して』(晃洋書房、1991年)に基づいて、19世紀と20世紀のヨーロッパ美術の動向を説明されてから、A3用紙4枚にも及ぶ「作家年表」を示しながら、日本の作家たちの歩みを概観されました。お話しの時間は40分ほどで、その後、パワーポイントを使って、お話しをされた作家たちの作品を、順に見せていただきました。ちなみに、このお話しのスタイル、すなわち、お話をしてから作品を見せるという進め方は、まことに懐かしいもので、スライドを利用する1970年代の美術史の授業を思い出してしまいました。現今の若い人たちは、お話しをすることと作品を見せることを、同時並行で行います。そのために、図版と文章を工夫しながらパワーポイントを作成するのですが、原田理事長の場合は、図版のみ。スライドの代わりにパワーポイントを利用しようというわけです。それにしても、スライドからパワーポイントへの移行は、携帯電話からスマホへの移行と同様、急速に行われました。付いていくのが大変です。そう言えば、原田理事長は、失礼ながら、ご高齢にもかかわらず、スマホをご利用。頭が下がります。
講座終了後には、会場を提供していただいている平安女学院大学の山岡景一郎学長・理事長が携わっておられる『月刊京都』(白川書院)の抽選会がありました。前回に続いてですので、恒例と言ってもいいでしょう。なお、今回出席された受講生の方々には、現在、京都国立近代美術館で開催されている
「キュレトリアル・スタディズ14:須田国太郎 写実と真理の思索」の招待券をお配りしました。力のこもった展示です。是非ご覧下さい。なお、次回は、『仮面ライダー』や『ゲームセンターあらし』で知られているすがやみつるさんの担当です。漫画家、漫画原作者、小説家、京都精華大学マンガ学部教授として、多彩な活動をされています。興味深いお話しが聞けるはずです。ご期待下さい。
なお、受講・聴講をご希望の方は、事務局までご連絡下さい。