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視覚文化連続講座シリーズⅠ 第3回「視覚の文化地図」講座レポート 

マンガは『文化』になれたのか?

-産業・文化・教育の側面から探るマンガの実相-

すがや・みつる
(京都精華大学教授)

日時:2020年11月21日(土曜)午後2時から3時30分
会場:平安女学院大学京都キャンパス
主催:きょうと視覚文化振興財団 京都新聞社
協力:平安女学院 京都新聞総合研究所
連続講演第3回は、すがやみつる先生の講演でした。『仮面ライダー』や『ゲームセンターあらし』などで漫画家として知られています。同時に、小説家としても数多くの書籍を出版し、幅の広い創作活動に関わるとともに、長らく京都精華大学マンガ学部教授として多彩な活動を展開されました。
今回の講演では、自己紹介に始まり、少年時代からのマンガへの情熱に話が及び、石ノ森章太郎に出会ってマンガ家になることを決意するとともに、松本零士の所に頻繁に通ってマンガの勉強をしたことなど、「マンガ家になる道」について興味深い話が続きました。やがて石ノ森原作の『仮面ライダー』で本格的にマンガ制作に入り、華々しくデビューすることになった経緯を披露されました。その間、久松文雄やジョージ秋山との交流など、多彩な人間交流について話が続きましたが、それらの内容は、一九七〇年代から一九八〇年代にいたる社会状況などを彷彿とさせる生々しい内容の開陳であったといえるでしょう。
続いてストーリー・マンガの起源に話が及び、12世紀に制作された『鳥獣人物戯画』に始まり、江戸時代の葛飾北齋の『北齋漫画』など、マンガに通じる過去の絵画作品を紹介しながら、コマと吹き出しを用いた最初のストーリー・マンガと言われる『イエロー・キッド』にも話題が及ぶとともに、1923年から26年まで連載された日本のストーリー・マンガの元祖『正チャンの冒険』(樺島勝一による画)にも触れる内容でした。
さらに、マンガを学ぶことの意義、マンガによって学ぶ重要性、海外のマンガ受容についてお話しされ、最後にマンガの未来について熱く話されました。『マンガ日本の歴史』など、さまざまなテーマのマンガが登場する現在から、未来のマンガの在り方を説きながら、マンガの可能性について情熱的に講演が続きました。その内容は電子コミック市場の発掘、マンガのデジタル化と機器の発達、インターネットの利用とマンガ世界など、現在および近未来のマンガの可能性について言及するものでした。
すがや先生のお話しは、まことに明晰で、理路整然としており、分かりやすく淡々とした話しぶりに、穏やかな人柄がにじみ出る感動的な内容でした。あっという間に過ぎた90分でしたが、またいつの日かに再登場していただけるようにお願いして講演会を終了しました。本当に素晴らしいご講演だったと思います。


  • すがや・みつる先生の講演中写真ですが、ともかく分かりやすいお話しでしたね。マンガに対する情熱が会場にあふれていました。


  • 多くの聴衆に参加していただき、熱気のある講演会になりました。年齢層も多様で、マンガ文化の広がりを痛感しました。


  • 講演会場となった平安女学院大学の正門です。歴史のある立派な建築で、会場にふさわしい風格がありますね。


  • 講演が終わった後、会場の皆さんから質問を受けている場面です。すがや先生の隣に立つ中谷理事も頑張っていますね。

【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
TEL / FAX  0774-45-5511
Mail / info@kyoto-shikakubunka.com