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視覚文化連続講座シリーズⅠ 第4回「視覚の文化地図」講座レポート 

祭礼と視覚文化

-仙台祭と仙台祭絵-

浅野秀剛
(大和文華館館長・あべのハルカス美術館館長)

日時:2020年12月19日(土曜)午後2時から3時30分
会場:平安女学院大学京都キャンパス
主催:きょうと視覚文化振興財団 京都新聞社
協力:平安女学院 京都新聞総合研究所
連続講演第4回は、浅野秀剛先生の講演でした。浮世絵研究の第一人者として日本国内のみならず海外でも知られておられます。美術館業界の重鎮で、浮世絵については、専門書から入門書まで多数の書籍を刊行されています。
今回の講演では、めずらしい仙台祭絵を中心に、日本各地の祭絵を紹介され、祭の版画や看板絵などについて、多くの写真を駆使して分かりやすい解説を行っていただきました。仙台祭絵については、京都や関西圏の方は、あまりなじみのない浮世絵であると思われますが、仙台東照宮祭礼時に出版された版画を指します。ひとつの渡物(山鉾)を大画面に描いた「大絵図」と、多数の渡物を描いた「小絵図」に大別され、「大絵図」は3種類に分類され、19世紀初期以前の第1類、それ以降の幕末までの第2類、そして明治期の第3類に分けられます。
渡物の名前は画中に記されているとはいえ、典拠不明のものが多く、理解するのが困難な場合がしばしばです。仙台祭絵に関しては、江戸絵の影響も見逃せませんが、地域の特色を表した仙台独自のものがあります。いずれにしても、江戸時代に出版された祭礼版画は膨大にありますが、仙台祭絵のように、100年もの長い間、ひとつの山鉾を描いた大きな版画が、これほどたくさん遺存している例は他では見られないというお話しでした。
江戸時代に制作された祭礼の看板などに見られたイメージ(視覚的図像)は、時代の経過につれて失われていき、現在も残されているものはわずかです。今日の写真やビデオなどが無い時代に、それらのイメージを保存することはできなかったわけです。わずかに残されたイメージを手がかりに、当時の実態を再現するために、失われたものを想像によって補う作業が必要となっています。
今年のテレビの大河ドラマでは、明智光秀をめぐるドラマが放映されていますが、光秀を主人公として執筆された『出世大平記』の場合も、その看板絵は失われてしまいました。こうした歌舞伎看板絵と、それと同時か、少し遅れて出版された辻番付(版画)との関係についても、ボストン美術館に収蔵されている看板絵を手がかりにして興味深いお話をうかがうことができました。浅野先生の深い学識に講演会に参加した皆さんが感嘆の声を上げていたことは言うまでもありません。


  • コロナ禍が厳しくなる中、それでも多くの皆さんが講演会に参加されました。頭が下がりますね。


  • めずらしい写真を次々に披露していただき、食い入るように見つめる受講生の皆さんの真剣さにも胸を打たれました。


  • 一番前の席を陣取った女性は、かなりマニアックな方とみえて、質問も鋭かったですね。浅野先生のファンなのでしょう。


  • 恒例の抽選会で籤に当たり、平安女学院大学の山岡景一郎学長・理事長から提供して頂いた『月刊京都』を受け取る受講生。浅野先生も頭の低い方ですね。

【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
TEL / FAX  0774-45-5511
Mail / info@kyoto-shikakubunka.com