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視覚文化ワークショップ 視覚文化ワークショップ

2023年度 第2回 視覚文化公開ワークショップ

「眼目の教 ー 展示の視覚文化」
報告者:佐藤守弘

【概要】

1873年 日本政府は、はじめてウィーンで行われた万国博覧会に公式に参加した。博覧会事務局の副総裁であった佐野常民は、その報告書に、博覧会の本質とは「眼目の教によりて人の智功技芸を開新せしむるに在り」と綴っている。彼は、視覚的に語られる物語が人に訴えかけることの影響力 ー 彼は「眼視の力」と呼ぶ ー の大きさを、博覧会という展示形式に見たのであろう。
博覧会だけでなく各種のミュージアム、動物園、百貨店などは、モノを陳列・展示することで知識を共有し、あるいは欲望を喚起する諸装置であり、それらは19世紀に劇的に発達し、20世紀に最盛期を迎えた。言葉ではなく、モノそのものにストーリーを語らせる視覚的展示という文化は、まさにモダニティを代表するメディアのひとつであったと言えるだろう。ただ、それは果たして21世紀においてもまだ力を持つのであろうか?
今年度の視覚文化ワークショップの共通テーマが「展示」であることを承けて、今回は展示という文化的営為を、展示をする者からそれを見る人びとへのコミュニケーションと捉えることを試みる。展示はどのような世界を指し示しているのか? それはどのような考えを表明しているのか? それは観者にどのように働きかけるのか? 展示されるモノ、展示の場、展示に関わるさまざまな規範や理論は、いったいどのような機能を果たしているのか? そして、そもそもこのようなコミュニケーション図式において展示を捉えることが、展示の過去/現在/未来を考えることに少しでも寄与するのだろうか? 本ワークショップでは、コレクションと展示のコミュニケーション図式の試案を提示し、それをミュージアム、コンビニ、動物園などの実例に当てはめることで、その文化の果たす諸機能を考えていきたいと考えている。
また今回は、『絵画のメディア学 ー アトリエからのメッセージ』(共編著、昭和堂、1998)などで、さまざまなイメージのメディア的機能をロマーン・ヤコブソンによるコミュニケーション図式を採用することで読み解いてきた岸文和氏(同志社大学名誉教授、きょうと視覚文化財団理事)をコメンテーターとして迎えて、報告者の提示するモデルを徹底的に叩いていただき、「使える」モデルに鍛造していこうと考えている。

【参考】

「特集:コレクターの眼差し ー モノの向こうに何を見るか」
「趣旨説明」(岸文和)『美術フォーラム21』第42号
【サンプルPDF】

【詳細】

日時:2023年9月3日(日曜) 午後2時から4時30分頃まで
会場:同志社大学今出川校地良心館RY208
参加定員:ZOOMでのご参加も可能です。
連絡方法:お申し込みを受付けた後、事務局から事前にご案内を差し上げます。

【申し込み】

参加ご希望の方は、下記「参加申し込みフォーム」よりご応募下さい。
なお、お申込みに際して、参加方法(会場参加/ZOOM参加)を選択して下さい。

参加申し込みフォーム


佐藤守弘


【略歴】

同志社大学文学部教授。芸術学・視覚文化論専攻。同志社大学大学院文学研究科博士後期課程退学。博士(芸術学)。京都精華大学デザイン学部教授などを経て現職。写真を中心に、アートやデザインの周縁にある身近なイメージやモノ ー 鉄道写真、遺影写真、小学生の版画などなど ー に興味を持っています。単著に『トポグラフィの日本近代――江戸泥絵・横浜写真・芸術写真』(青弓社、2011)、共編著に『学校で地域を紡ぐ ー 『北白川こども風土記』から』(小さ子社、2020年6月発刊予定)、共著に『開封・戦後日本の印刷広告 『プレスアルト』同梱広告傑作選〈1949-1977〉』(創元社、2020)など。詳しくは、ウェブページ「佐藤守弘の経歴/業績」を御覧ください。

【リンク】




【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
Tel / Fax:0774-45-5511