パソコン用の画像 スマートフォン用の画像
パソコン用の画像 スマートフォン用の画像

視覚文化ワークショップ 視覚文化ワークショップ


第2回 視覚文化公開ワークショップが開催されました
2021年6月6日(日曜)午後2時から、同志社大学寧静館5階会議室で、第2回視覚文化公開ワークショップが、対面とZOOMのハイブリッドで行われました。会議室には、報告者である天野和夫研究員とゲストの井上廣子さん(現代美術家)、佐藤守弘研究員、杉山卓史研究員、財団から、原田平作理事長、岸文和理事と入江事務局長が集合。中村史子研究員とはがみちこ研究員は、ZOOMで参加しました。財団ホームページを通じて参加を申し込まれた4名の方々も来場され、ZOOMでも5名の方々が参加されました。今後とも奮ってご参加いただくよう、お願いします。
さて、第2回公開ワークショップは、「現代美術と画廊の役割」と題して、天野和夫研究員(天野画廊代表)が、現代美術家の井上廣子さんをゲストにお迎えして、およそ1時間30分にわたって発表し、その後、質疑応答が行われました。井上廣子さんは、1998年に開催された「大阪トリエンナーレ彫刻98」で「デュッセルドルフ市特別賞」を受賞され、異国の地・ドイツで作家活動を始められました。日本とは異なって、「アートは特別なものではない」と感じられたとか・・・。アートは、過去についての記憶や、現在についての認識にかかわるものとして、身近な問題意識に支えられているとのことです。その後の議論は、このようなアートのあり方を可能にする、アーティストと受容する人たちを仲介する人(コーディネーター/キュレーター)や組織・施設・制度(ファンド/ミュージアム/オープンアトリエ/マーケットなど)の原状と課題を理解する方向へと展開しました。アートと言えば、つい、展覧会で出会う作品のことばかり考えてしまいがちですが、作られたモノを流通させるメディエーター(仲介者)の活動――作られたモノの魅力に気付かせる働き――が不可欠です。今回、ギャラリストである天野研究員とアーティストである井上廣子さんには、このようなメディエーターの活動の重要性に気付かせる貴重な機会を与えていただきました。感謝します。
第3回は、佐藤守弘研究員の担当です。日本画家の藤野裕美子さんをゲストにお迎えして、7月18日(日曜)午後2時から開催予定です。参加ご希望の方は、財団HPを通じて、お申し込み下さい。


【趣旨】
画廊は展覧会を通して作品の売買をするだけの場所ではない。特に現代美術の分野においては、表に出ないプロデューサーでもあり、コンダクターでもある。画廊はいかにして作家を見つけるか、また作家はいかにして画廊とかかわりを持つか。現代美術家・井上廣子と、この道50年の画廊主が、画廊の役割について語る。

【目次】
1)画廊の誕生=絵の具屋から派生←チューブ入り絵の具の発明=印象派
  ヨーロッパ:ベルネイム・ジュンヌほか
  アメリカ:マーサ・ジャクソンほか
  日本:日動画廊ほか

2)作家のスポンサーとしての画廊
  中世はメディチ家、あるいは教会。
  現代は画廊に加えてオークションハウス、アートフェアー、奨学金制度

3) 井上廣子さんの場合
  大阪トリエンナーレでドイツ文化センター賞、渡独

4)画廊と美術館、あるいは価格づけと価値づけ
  画廊でデビュー=価格付け
  美術館で展覧会=価値づけ
  「これからは画廊から美術館へイニシアチブが移る」建畠

5) 現代美術以外のジャンル
  画料 1/10=日本画→生活資金 1/2=現代美術→販売契約

6) 流通
  消費財ではない:資産に計上:簿価、評価替え
  美術館における購入委員会と評価委員会

7)マーケットの諸問題
  日本のランキング
  オークションハウス
  国際アートフェアー

左が天野研究員、右が井上廣子さん。他の参加者との間には、十分すぎる社会的距離が保たれていますので、マスクをはずしてもいいかなあ。いやいや、ワクチンが普及するまではガマンの子か。天野さんの顎マスクは、そのような揺れる気持ちを表していような・・・。なお、お二人の間に映り込んでいるのは、佐藤研究員が準備したWEB会議用の全方向集音マイク。さすがの性能です。

左端が佐藤研究員、モニターに映っているのが、ZOOM参加のはが研究員。写真が小さくて恐縮ですが、モニターの画面を拡大してみると、向かって右に、一部に蛇を染め抜いたような赤い布が映り込んでいる事に気がつきます。はがさんにお尋ねしたところ、京都市立芸術大学美術科(彫刻専攻)准教授・金氏徹平さん(https://teppeikaneuji.site)が制作された作品(紅白幕のようなもの)なのだそうです。はがさんがお仕事をされている東山アーティスツ・プレイスメント・サービス事務局(一般社団法人HAPS)に常設されているそうですし、京都芸術センターの前田珈琲にも大がかりな作品がありますから、気になる方は、是非、見学にお出まし下さい。

ZOOM参加の中村研究員。ご自宅からの出演かしらん。今は、どこも、コロナ対策で大変な時期で、貴重なお休みの日に、参加していただくのは心苦しい限りです。ちなみに、来場された方々とは、目を合わせば挨拶を交わしますが、ZOOM参加の方々とは、つい、挨拶がおろそかになってしまいます。映像世界にお住まいのデジタル人間ですから、当方も、見られているという意識が希薄だからでしょうか。

杉山研究員。机の上には2本のお茶。左の大きい方が、サントリーの伊右衛門で、右の小さい方が、コカ・コーラの綾鷹。どちらか一方は、財団が準備したもので、もう一方は、杉山さんが、おそらくコンビニで購入されたものです。では、杉山さんが購入されたのは、どちらでしょう。ちなみに、私たちがコンビニで飲み物を買うとき、冷蔵庫の前に立ってから商品を手にするまでに要する時間は、平均2秒だとか。飲料メーカーは、この2秒間に社運を懸けて、新商品を開発し、新商品の魅力を訴える宣伝・広告に力を入れています。そのさい最も重要なのが、商品イメージを形成するキャッチ・コピー。伊右衛門のキャッチ・コピーは「淹れたてのような、緑、味、香り」で、綾鷹は「急須でいれたような、にごりの旨み」です。似たり寄ったり、などと仰ることなかれ。杉山さんが魅力を感じたのは、どちらかといえば「緑」という視覚的なものだったのでしょうか、それとも「旨み」という味覚的なものだったのでしょうか。さて、どっち。ヒントを出します。杉山さんは、研究員の鑑です。

【連絡先】

きょうと視覚文化振興財団事務局

〒611-0033 宇治市大久保町上ノ山51-35
TEL / FAX  0774-45-5511
Mail / info@kyoto-shikakubunka.com